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感染症による警備員の予防対策

 施設警備や機械警備など特定の警備業務では、感染症流行下においても警備する施設性質上可能な限り警備実施が必要となる場合があります。
 病院や公共交通機関などの主要なインフラが維持されるため、可能な範囲で警備業務を遂行するため、警備員の感染症予防対策が必要となります。

<警備員の感染症の感染リスク>
 感染症流行時、その感染リスクが大きいのが病院施設。鉄道などの公共機関。空港や港湾などの出入国に関する施設。どれも社会にとって重要なインフラ設備であり、警備業務を実施する重要施設です。
 これら施設での警備業務では、感染症の流行時に特に感染するリスクが大きいことに注意した予防対策が必要となります。

<警備員の感染症の予防対策>
・警備員夫々の日常の感染予防行動
 警備員の日常生活において、人混みへの外出。感染症の発生地域への旅行などを控える。規則正しい生活(睡眠不足など)による健康管理。(任意協力)

・勤務時間中の感染予防行動
 勤務時間中のマスク着用。手洗い・うがいの実施。アルコール消毒の実施。
 外来者等の対応において、ガラス越しによる来訪確認やインターホン等を活用した濃厚接触を避ける一次対応への変更。
 外来者カードの発行など面談対応は、外来者にマスクの着用やアルコール消毒を実施後に実施する。
 一次対応方法の変更では、来訪者に対しての印象を考慮し「感染症対策としてインターホンにより要件をお伝えください。」など、変更理由等を明確にしておくことが必要です。

・勤務員ペアの固定
 警備員間での感染者発生による拡大を防ぐため、現金輸送等での車両に同乗する相勤者(ペア)の固定。
 ローテンションにより多くの警備員が勤務する施設先では、ローテンションによる相勤者(ペア)の固定することで、警備員全体に無秩序に感染が広がる事を防ぎます。

・勤務時間の時差による濃厚接触の削減
 現金輸送、機械警備等の各車両毎に時差による出発と到着。運行記録などの書類記載など付帯業務の各車両毎に時差による実施。各車両毎に実施場所(部屋)の割り当て。

・就警報告(上番報告)退警報告(下番報告)の変更)
 勤務員一斉による就退警(上番・下番)報告の廃止。又は変更。朝礼などの廃止。

・引継ぎ方法の見直し
 口頭による直接面談方法から、ガラス越しや電話連絡への変更。マスク着用をした上で一定の距離を保った面談方法への変更。

・勤務交代時の備品等の消毒
 電話機、デスク、ボールペンなど備品からの接触感染を防ぐため、業務員の交代時に直接触れる備品やドアノブの消毒を実施します。

・室内空気の流れの管理(機械換気の活用)
 警備員室等の警備員が待機・応対する部屋の換気構造を確認し、外来者側から警備員室に流れる空気の流動により汚染された空気に警備員が暴露しないよう空気の流れの管理を行います。
 空気流動の考慮の例:
 ・警備員室内の機械換気(換気扇)がある場合は停止する。
 機械換気が室内にあると、来訪者等の応対する受付窓口から空気が警備員室に流入し、換気扇を通って屋外に排出される空気の流動が形成されるため。
 ・自然換気口の解放。窓を少し開ける。
 施設内の空気は常にトイレや喫煙室などの機械換気装置(換気扇)から排出されています。
 待機する警備員室の自然換気口や窓を少し開けうことで施設内の空気は窓から警備員室を通り、廊下や受付窓口の外へ。最終的にトイレ等の機械換気(換気扇)から屋外に排出される空気の流れが形成されます。


<感染症予防に用いる資機材>
・使い捨てマスク
 来訪者への応対。警備員間での感染拡大に効果を期待できます。

・使い捨て手袋(ポリエチ手袋、ゴム手袋)
 汚染された吐物などの清掃。筆記具やドアノブなどの消毒の際に使用します。

・アルコール消毒薬
 新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザなど幅広い感染原因に効果を期待でき、使い易い消毒薬です。しかし、ノロウイルスやロタウイルスでは効果が低く(十分なアルコール消毒薬で一定の接触時間が必要)感染症の種類によっては不向きな場合もあります。

・石けん(液体せっけん、泡せっけん)
 手洗い時に消毒するための石鹸です。手洗いで十分な効果を期待するためには、石けんの使用だけでなく、手洗い場の自動ドア。手洗い水道の自動の止水栓など、手洗いの前後に他者の触れた箇所に触れない環境整備が必要となります。

・ハイター、ブリーチ等の次亜塩素酸ナトリウムなどの漂白剤
 適切な希釈倍率(0.1%)で使用することで、強い消毒効果があります。
 しかし、使用箇所の変色や腐食。直接触れることで人体への悪影響もあるため使用に注意が必要です。冬季に吐物等により拡散するノロウイルスの消毒等に大きな効果があります。

・空気清浄機
 空中を浮遊するウイルス等を除去することで周囲への感染リスクを低減させる効果があります。また、放電によりイオンを放出する機種では、微量ながらもオゾンも放出しているため、オゾンによるウイルスの不活化が僅かばかり期待できます。
 2020年9月、シャープのプラズマクラスターにおいて新型コロナウイルスの効果(ウイルスの不活化)が実証されました。

・加湿器
 インフルエンザなどの一部のウイルスでは、湿度が高いことでウイルスが活動できる時間が短くなり、感染リスクを低減させる効果があります。
 新型コロナウイルスでは、オゾン発生器と併用しウイルスを減少させる効果が確認されています。

・オゾン発生器
 オゾンはインフルエンザウイルスやノロウイルス、大腸菌など様々なウイルスの細菌の殺菌(不活化)に効果があります。2020年に流行している新型コロナウイルス(COVID-19)に対しても効果が確認されています。
 新型コロナウイルス対する効果では、
 高濃度オゾン:
 オゾン濃度6ppmで55分曝露)では、1/1,000~1/10,000
 オゾン濃度1ppmで60分曝露)では、1/10~1/100 まで不活化
 低濃度オゾン:
 オゾン濃度0.1ppm、湿度80%で10時間後には感染力のあるウイルス量が4.6%に減少
 オゾン濃度0.05ppm、湿度80%で20時間後には感染力のあるウイルス量が5.7%に減少
 ウイルスの減少は湿度が高いほど有効で、湿度55%では湿度80%ときほどウイルス量が減らなかった。
 オゾンによる新型コロナウイルスに効果に関しては、
 警備員日記 > 低濃度オゾンが新型コロナウイルスの減少に効果 換気が難しい部屋での感染予防が期待されます。

<新型コロナウイルス感染症に関するガイドライン>
 新型コロナウイルス感染症については、全警協より2020年5月14日策定(2020年5月29日改訂)にてガイドラインが公表されています。
 詳しくは(外部リンク):
 一般社団法人 全国警備業協会 >
 警備業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン
http://www.ajssa.or.jp/
wp-content/uploads/2020/05/
bbc7b1fd4e059116b52d5e99e1140e48.pdf


<新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためのチェックリスト>
 厚生労働省より職場における感染拡大を防止するためのチェクリストが公表され、感染防止対策の実施状況の確認に役立てることが出来ます。
 外部リンク:厚生労働省 > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症情報 > 新型コロナウイルス感染症について > 働く方・経営者への支援などのリーフレット一覧(新型コロナウイルス感染症)
 ・職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト(事業主向け)
 https://www.mhlw.go.jp/content/000657665.pdf

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