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火災原因順位

 防犯とともに警備員の大きな役割である火災予防と早期発見。火災の早期発見。出火を予防するために必要な火災発生原因(出火原因)です。

<出火原因を知る目的>
 火災の出火原因では「放火」が最も多く、出火件数の約2割が放火・放火の疑いが占めています。
 警備業務では、多くの出火原因について注意を払うことが重要であることは当然に、火災の早期発見。放火の原因ととなる屋外の燃えやすい放置物の排除等の予防活動が重要です。
 また、これらの予防を目的とした防犯灯・防犯センサー類の設置など放火を意識した設備的な対策の検討も重要です。

<放火対策の重要性>
 「消防白書第1-1-20図失火による出火件数」(図ページ下部)の通り、火災原因の約22%が放火・放火の疑いによるものです。
 警備実施にあたっては、顧客に対して予め放火リスクを十分に説明した燃えやすい物の排除を行うことが重要です。
 また、ゴミ置き場等を施錠できるものとし、警備の巡回点検個所に含むなどの提案。運用上ゴミ置き場等で施錠出来ない場合、ゴミの置く時間帯を定めたルール作りによる夜間のゴミ等の放置の禁止。ルール違反により放置されたゴミの取り扱いを定めておくことも重要です。

 警備員等の人の目による監視が及ばない場合、防犯カメラ・センサーライト等の設置により放火に対するけん制措置を検討することも有効な対策です。

<火の取扱の重要性>
 「消防白書第1-1-21図主な出火原因別の出火件数」・「消防白書付属資料6主な出火原因別の推移」(図ページ下部)の通り、放火及び放火の疑いを除くと、こんろ・たばこ・たき火が常に原因の上位を占めています。
 各出火原因毎の予防では、
 ・こんろ
  警備対象施設における火を取り扱う場所について予め確認し、ガス等の元栓を閉める。
 ・たばこ
  喫煙スペースの吸殻の処分ルールを定める。
  喫煙スペースを巡回経路に含み、吸殻の放置に関する取り扱いを定めておく。
  喫煙スペース以外での喫煙行為がないかについて、重要課題とする。
 ・たき火
  屋外の公園、及び屋外にバーベキュー等のレジャー施設がある場合には、営業時間外等の施設の利用。その他の火の使用に対しても、どのような措置を取るかを施設管理者と打合せし、再発がしないような厳格な対応方法を定めておくことが重要です。
  また、消防法による法定の範囲の火災感知器設置だけでなく、特に警戒が必要な個所などでは早期に発見するための措置として煙感知器・炎感知器を追加設置するなども早期発見と予防に有効な手段となります。
 ・煙感知器・炎感知器の追加設置例
  ・トイレの天井に煙感知器
   煙草の煙を早期に検知し、指定区域外での喫煙行為を予防できる。
  ・トイレの天井に炎感知器
   煙草に火をつけるライター等の火を感知し喫煙行為を予防できる。
  ・非常階段に炎感知器
   煙草に火をつけるライター等の火を感知し喫煙行為を予防できる。
  これらは、実際に感知することができなくて併せて注意書きを行うなどにより一定の予防(けん制)効果が期待できます。

<天災による火災>
 「消防白書第1-1-21図主な出火原因別の出火件数」(図ページ下部)で天災による火災は、0.3%とごく僅かであるため見落としがちです。
 しかし、警備の上では非常に重要な数字となります。
 多くの無人施設で主流である機械警備では、火災の内、落雷によるものは遠隔監視で判断することがとても難い項目です。
 落雷による火災では、出火と同時に火災受信盤、機械警備装置、通信機器が故障することも多く、この影響により警備回線の断線等により出動した結果が火災であることもあります。

 落雷が多い日では、それを原因とする誤報が多いのも事実です。
 しかし、火災以外の警報でも落雷による可能性であることを考慮にいれる必要があります。

 また、実際に落雷による被害で配線等が焼け焦げている等を発見した場合、壁の中等の見えない個所で燻っている可能性があります。
 その場で火の手が確認できないことで安易に判断した結果、その後の炎症。及び再燃の可能性が大きいことにも注意を払う必要があります。
 落雷による火災、及び火災につながる懸念が僅かでもある場合には、通常の火災対応と異なる尺度で判断し、万が一を期しての現場での待機。早期に施設管理者への連絡を行う等の鋭敏な対応をはかることも必要です。
 また、落雷による機器故障の影響でその後のリアルタイムな遠隔監視が出来ないことにも留意しなければなりません。

<この他の火災>
 「消防白書第1-1-21図主な出火原因別の出火件数」(図ページ下部)で下位となる電気装置。
 「消防白書付属資料6主な出火原因別の推移」(図ページ下部)で8~10位の原因で推移する電灯・電話などの配線、配線器具。
 これら電気関係による火災は一見すると少なくみえます。しかし、放火及び放火の疑いによる火災を除外してみると出火原因の内約9.5%を占めます。※1
 さらに警備等を行う法人では、出火原因の上位である煙草(寝たばこ)・たき火等の大半が除外されるため、さらに大きな割合を占めることとなり※2注視すべき主たる火災原因です。
 これを防ぐため、日頃から電気設備の異常(蛍光灯等の安定器の異常)、電気設備の異音。匂いの変化など異常を感じた時に速やかに報告を行うことが重要です。
 また、家庭においては、エアコンなどの消費電力の大きい機器を中心に配線状態の確認。トラッキンング火災などのコンセントにホコリ等で汚れた状態にないかを確認することが重要です。

<警備装置による火災反応>
 機械警備等の遠隔監視の内、消防法による自火報設置義務がない建物では防犯センサーのみが設置されている場合があります。
 これら機械警備においての火災発生時には、防犯センサーの内、空間センサー(パッシブセンサー、アクティブセンサー等)が煙や火災による熱や光を感知し反応する場合が多くあります。
 防犯センサーの他、併せて任意設置している火災センサー(煙感知器・熱感知器)が反応した場合、火災の可能性が極めて大きい。
 防犯センサーの反応の後、通信の断線が発生した場合(火災による停電。機器及び通信ケーブルの損傷)、火災の可能性大きいことを念頭に行動しなければなりません。


以下、総務省消防庁 平成22年度消防白書からの引用資料:

<火災の出火原因>
平成21年中の総出火件数5万1,139件のうち、失火による火災は3万2,946件(全体の64.4%)であり、火災の多くは火気の取扱いの不注意や不始末から発生している。
火災の出火原因

また、出火原因別にみると、放火が6,615件で最も多く、次いでこんろが5,139件、たばこが4,997件の順となっている
出火原因順位

<主な出火原因の推移(上位10位)>
主な出火原因の推移
 :引用終了

引用元:総務省消防庁 平成22年度消防白書
http://www.fdma.go.jp/
html/hakusho/h22/h22/
index2.html#dai1


・第1章 災害の現況と課題 > 4 出火原因
http://www.fdma.go.jp/
html/hakusho/h22/h22/
html/1-1a-4_0.html

・附属資料6 主な出火原因の推移(上位10位)
http://www.fdma.go.jp/
html/hakusho/h22/h22/
html/shiryo06.html


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