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資質向上の教育

 警備員の不祥事の問題など、資質の向上が大きな業界課題であり、最大の難題です。
 警備員の資質向上に向けた取り組みや問題点などです。

<資質向上の教育>
 警備員の資質向上に関する教育は、警備業法施行規則でも定まる必須の教育科目です。
 しかしながら、警備業を問わずどの業種でも不祥事問題が企業や業界に与える影響は大きく、その予防を含め資質の向上は大きな教育課題です。
 また、不祥事があるたびに資質向上が叫ばれます。
 しかし、本来資質とは「生まれつきの性質や才能。資性。天性。」を意味し、教育での資質向上とは、後天的に本来の目的を遂行するために必要な知識や感性を磨き能力を高めることをいいます。
 不祥事だけでなく、警備員として職務を遂行するための広い意味を持ちます。

<期待される警備員のあり方>
 教本では、
 引用開始 「特定の契約先から委託を受け、人の生命.身体.財産等の安全を守る警備業務に従事する警備員に対し、委託者はもちろん社会一般が寄せる期待は大きい。
 警備員はこのような期待に応えるため、警備員として必要な専門知識、能力の向上に努めるとともに、内面的には良識の豊かな誠実な人柄、外面的には清潔で端正な服装、明快で規律のある言語、動作、そして心身ともに健康であることなどが強く求められると考えられる。」引用終了
引用元:(社)全国警備業協会 警備員指導教育責任者講習教本Ⅰ基本編
 とあります。しかし、言葉にすること容易ですがいかに難しいかは業界関係者のみならず、多くの人が認識していると思います。

<資質向上の難しさ>
・社交性の問題
 人よって、人付き合いが苦手な者と得意な者がいます。
 警備業は、サービス業であり、その形態から殆どの警備員が委託者等の外部と接する機会を持ちます。
 外部との接触は、警備の能力はさることながら、常識等の社会性が垣間見える機会が多く、豊かな人間性を警備員に求められます。
 しかし、多くの人間が集まる以上、人づきあいが苦手な者などの社交的でない者も存在します。警備業は、他の業種に比べて事務職や製造職など外部との接触の必要が少ない部署が少なく、素質に関係なく警備隊を編成せざる負えません。
 また、こういったサービス業であるという特徴は未経験者には想像しにくく、誤解を持ったまま応募したことにより新規学卒者の中には意欲の低下等の隔たりをうむ場合があります。

・業務形態の問題
 警備業は夜勤が多いという業務形態も、外部との接触が少くなり人間性の成長に大きな弊害となりえます。社会人となった20代前半に夜勤中心の勤務形態に従事させると、社会人としての一般常識の習得が遅れ、警備員独自ともいえる常識を持つようになる傾向があるようです。

・統括の難しさ
 施設警備など、委託者である警備先専属で業務を行う部署では、委託先固有の主観をもち、所属している警備会社職員としての意識が低下しやすいことがあります。

・画一的な警備実施の難しさ
 施設警備等において、警備にあたる警備員と警備先との良好な人間関係の構築は、信頼向上に繋がるとともに日々の警備業務に有効に働きます。
 しかし、個人的な人間関係の構築は、他者の警備員の勤務を妨げます。
 行き過ぎた交流や、誤った人間関係の構築しないための最新の注意が必要です。

<資質向上の施策>
・社交性の改善
 良識ある豊かな警備員の育成には、警備業に関する知識はさることながら、一般常識等の社会勉強が必要不可欠です。
 警備業の枠にとらわれず、外部の新人社員研修会。電話応対セミナー。マナー研修会等を利用するなどした、幅広い知識と感性を磨く必要があります。
 集合教育等において、警備業以外の外部講師を招いた講習会も有効です。
 但し、実施にあたり警備業法上の教育時間とならないことに注意し、余剰教育として実施しなければなりません。
 しかし、法定教育とはなりませんが警備員管理の観点から、指導教育責任者は警備員名簿に法定教育と合わせて記載し、教育実施の実績を記載しておくことをすすめます。不祥事の発生や、外部からの教育管理の実績を証明するのに便利です。

・業務形態の改善
 新米社会人である間は、出来れば多種多様な外部との接点をもつ職種で育成をはかりたいところです。
 しかし、業種がら選択の幅が小さいのが実情です。
 夜勤という閉鎖された部門での勤務させる時は、指導監督に年長者と共に勤務を編成するなどし、考えが大きく逸脱しないよう日常的に注意を払う必要があります。
 特に若年者だけで編成した場合、独自の価値観や感性を生む可能性も念頭に置く必要があります。

・統括の改善
 契約先に警備先に直行直帰を基本とする警備業務では、警備会社の職員であるという自覚を意識させる必要があります。
 定期的な指導員による警備先に訪問指導はもちろん、定期的な出社指示による指導。
 現任教育等の集合教育を、単に法定教育だけでなく、自社職員であるという自覚の場であるととらえ、指揮命令の維持だけでなく、警備会社職員としての主観維持を心掛けます。

・画一的な警備実施
 画一的な警備実施の為に、基本通りの警備実施。また、特有の事情による特異的な取り扱いについては警備会社と警備先担当者とが確認し、必要に応じて契約内容の変更。警備内容の変更。警備指令書の変更等をその都度明文化しておきます。
 特に、現場警備員と担当のみで決められ、警備会社に報告がなされていない業務実施については、指導側が毅然と対応し、今後の業務実施方針の確認。報告がなされなかったことについての不備を正さなければなりません。



 このページ記載した内容は、これまでの管理人こととある警備員指導教育責任者の実体験や所感から記載しています。
考え方や捉え方で、大きく異なると考える方もいると思います。
 また、社会常識や感性について、個人の育ちや家庭環境。職場環境。天性による場合等、個人差が大きいと考えます。
 こうした考えがあることについての参考程度にして下さい。
 なにぶん、よりよい方法についても、日夜精進中の身ですのでご了承下さい。

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