警備員の道警備業 > 現金輸送警備の現状

現金輸送警備の現状

 現金輸送警備業務は、警備業法第2条3号業務のうち、主に現金等の貴重品を運搬する警備業務です。主な事件や事件の発生状況は、「現金輸送車 襲撃・強盗事件」へ

<現金輸送警備の展望>
 2022年の時点で、クレジットカード、各種電子マネー、スマートフォン決済等による現金離れ。政府のキャッシュレス決済の推進事業。更に新型コロナウイルス感染予防の観点からキャッシュレス決済を後押し、ATM利用者は減少。
 また、コンビニ設置のATMが充足したことから金融機関の店舗外ATMの削減がすすめられています。
 これまで、コンビニATMと金融機関の店舗外ATM(ショッピングモール等の設置ATMを含む)が乱立した状況と比較し、減少に伴い付随する現金輸送業務の需要は減少する見込みにあります。

<主な運搬(輸送)物>
金融機関対象
・お札のトランクケース
・硬貨の麻袋
・梱包された硬貨
・ATM等の装填カセットケース
・有価証券
その他の業界対象
・スーパー、テナント等の両替金袋 ・売上金袋
・パチンコのもやに使用する特殊景品
・コインパーキング等の料金
・その他、入金機・両替機に使用している交換カセット 等

<現金輸送警備業務の成り立ち>
 日本における警備業務の現金輸送業務は、日○通運が警備輸送事業を開始(1965年9月)以来、今日に到るまで首位を保っています。
 現在では大小合わせて非常に多くの警備会社が現金輸送業務を開始し、営業を行っていますが、その成り立ちは大きく二つに分かれています。

①運送業者から開始された現金輸送警備
 現金輸送業務は、「現金」という貨物を対価を得て運搬します。
 このため、貨物自動車運送事業法に抵触する運送事業です。
 貨物自動車運送事業法の定義
 法第2条2項
 『この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運搬する事業であって、特定自動車運送事業以外のものをいう。』
 法第2条3項
 『この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運搬する事業であって、特定自動車運送事業以外のものをいう。』

②警備会社から開始された現金輸送警備
 警備会社が、事業を拡大することで運送事業の許可をとり、現金輸送警備業務を行っている業者

 従来、法律の許可制度や、事業継続の法制度から運送事業の許可と維持が難しく、運送事業者の方が参入しやすい状況でした。(現在では、警備業法が改正され、新規開始についての運送事業者の有利性は失われました。)

<現金輸送警備業務の現状>
 運送事業といった他の分野が大きく影響をあたえる現金輸送警備業務は、その成り立ちもあり、取り組む姿勢が二極化しています。

・警備員としての意識の違い
 警備会社の視点・・・
 警備会社にとって現金輸送警備業務の実施は、全国9,000社ある同業者の中で一定の事業規模を示す指標に成り得ます。
 また、その警備業務形態から一般の目に触れる機会も多いことから宣伝効果も大きく、ある種、花形の警備業務でもあります。
 現職の警備員の中には、憧れをもった職種の一つでもあります。

・運送業者や、質の悪い警備会社の視点・・・
 多くの運送業者において、現金輸送警備業務が占める事業規模は小さく片手間に運営されてい場合が多くあります。
 1号警備(施設警備)や2号警備(交通誘導警備)が主力であり、事業規模の小さい3号(運搬警備)は、やはり片手間的な運営の場合もあります。

・警備員の人員編成の違い
 警備会社の視点・・・
 花形の職種である故、警備員についても見栄えもよく、優秀な人員配属させます。
 また、それに見合うだけの受注額で業務を行っています。
 運送業者や、質の悪い警備会社の視点・・・
 運送事業としては、運送距離も短く、運搬先も固定されているケースが多い業務なため、ある意味だれでも出来る業務内容として軽視されがちです。
 年配者や、長距離トラックが勤まらなく人員を配属させるケースも多いようです。
 価格競争の結果の安値により、採算性から待遇が悪く質の低下を招いている警備会社も多いです。

・例 外
 運送業者でも、現金輸送事業を主力を置く現金輸送事業部の存在や、会社としての姿勢により立派な運送会社の現金輸送部門も多くあります。
 逆に、質の悪い警備会社として取り上げた例の警備会社も非常に多くあるのが実態です。

最終的には、
・安かろう悪かろう としての低価格業者 
・あるべき現金輸送警備 としての警備運搬の業者 
・金融機関と強いパイプを持ち、独占的に業務を行う警備業者 の構成となっています。

現金輸送車 襲撃・強盗事件 へ

ページトップに戻る